利益を出すための話

2022-11-02 10:40:00

 販売戦略を立てるためにはまず消費者の購買行動を考えてみましょう。 まず大多数の消費者は買い物をはっきり決めずおおよその選択肢や何かあればという程度の意思で来店します。 最終決定は実際に見てから、と思っています。  とはいえ、それがないと困るかというと、そういうことまずありません。 なので、何か背中をもう一押ししてくれるものを待っている、というのも確かです。 

しかし現実にはピンとくる商品がなかったり、値段が予算と合わなかったり、色やサイズが欠けていたりで空振りに終わることも経験上知っていて、それはなんとか避けたいという気持ちもあります。  消費者にとって何も買わずに帰ることが満足度ゼロの状態と言えるのです。 

こう考えると売上金額というのは売る方の満足度でなく、消費者の満足度を示すものだと考えることができます。 販売スタッフは満足度を高めるためには最大限の努力をすべきなのは当然のこと。 販売とはまさに顧客満足を届ける行為なのです。 

この認識を持つことで販売という仕事に誇りを持ち、自信をもって業務にあたるとともに、消費者に満足を与える仕事の喜びを実感できるようになります。 


2022-10-03 16:53:00

経営戦略には3つの戦略軸があります。 

①何を売るか=商品戦略 (Merchandising)  

②どう集客するか=集客戦略 (Marketing) 

③どう売るか=販売戦略 (Sales) 

ただし長期的にみると、もうひとつあります。 がここでは上記3つの軸で考えます。 

④どこで売るか =出店戦略 

各戦略軸は異なった部署が受け持っており、たとえ同じ売上目標を達成するときでも、それぞれで違った数字を追っています。

商品戦略: 売上= 商品A + 商品B + 商品C ・・・ 

集客戦略: 売上= 新客売上 + 既存客売上 (メディア X レスポンス率)   

販売戦略: 売上= 客数 X 客単価 (商品単価 X UPT)  

同じ目標に対して常に3方向からの計画と検証が可能ということはそれだけ計画達成の精度が3倍に高まります。 常にこの3点からの検証をすべての部署で行うことがとても重要なのです。 売り上げは単一の部署で作れるものでは決してありません。

その理由は、消費者の購買行動には各戦略の要素が複雑に絡み合ってできているからです。 だから一つの目標に向かって3つの戦略軸それぞれが強い戦略を持ち、かつ3つが連動してはじめて結果が出せるのです。 どれかひとつが欠けても結果は出ません。 


2022-09-30 13:36:00

店舗では人目を引くための展示や陳列が重要です。 ショーウインドーに代表される飾りつけは季節感を表し商品の購買喚起をそのブランドらしく表現する、一種の芸術とも言えます。 このような飾りつけをVP(Visual Presentation)といいます。 同じように展示・陳列を表す言葉にVMD(Visual Merchandising)がありますが、こちらは全く別物です。 

VMDの目的は「計画した数量通りに販売する」ことです。 売れたらいつでもいくらでも補充できる商材なら、売れ行きが良ければ展開面積を増やせばよいのですが、自社ブランドのアパレルや服飾雑貨などは販売計画に基づいて生産が行われています。 したがって、すべての商材を計画通りに販売しないと売上目標が達成できません。 これを行うのがVMDなのです。

各店舗には必ず消費者の回遊する導線があります。 一番たくさんの人が通る主導線上でしかも最初に触れる場所が一番売れる場所であることが多いし、奥に行くほど販売の可能性は低くなるでしょう。 このように同じ什器でも場所によって売れ行きが違うことを利用すると、場所別什器別で売上予算を配分することができるのです。 これがVMDの考え方です。 何をどこにどれだけ置くか、を決める作業です。 計画数量が多い商材を売れる場所の什器に置く。 これを順番に繰り返すわけです。

次に、売上を上げるためには関連商材の販売も重要な要素ですがこれにもVMDが貢献します。 関連商材、コーディネートして同時に購買してもらえる商材を一緒に見れる場所に配置する。 これもVMDの役割です。 このようにVMDは数字の裏付けがあっての手法です。 したがって、実際に販売開始後に計画と違いがでてきた場合には、VMDの見なおしにより計画に近づけるよう修正することも可能です。 このようにしてVMDによって計画通りの売上を実現していきます。


2022-09-27 13:41:00

マーチャンダイジングを担当する商品部門の責任数字としては、まずは売上があげられます。 それに加えて商品の生産にも責任を持つ立場ゆえ商品原価にも責任があるでしょう。 また売れ行きによって消化を促進するための値引きの判断もあります。商品原価と値引きは最終的に粗利益に影響します。 売上と粗利益を大きくするだけなら在庫は多く持つに越したことはありません。 しかしそれが経営に悪影響を与えることは明白です。 明白なのですが、在庫過多の経営への悪影響がどれくらいなのか、については把握が曖昧で精神的なものだけである場合もあります。 これでは日々の業務で高収益を実現する仕組みとはいえません。 アメリカの小売業で一般的な方法としては、展開終了時に残った在庫についてはすぐアウトレット担当部署に移管してしまうのですが、その際に商品原価の一部を割引して渡します。 過剰在庫を外部の処分業者にディスカウントして販売するのと同じ考え方です。 その際の原価の割引分(Write Off)として把握します。 最終的に、商品担当(Merchantといいます)の責任数字は、売上から原価・値引きを引いた粗利益(Gross Margin)からさらにこの在庫処分のための割引額をひいた額=Merchant Marginとなります。 これが売上、原価、値引、在庫のすべての要素を加味したうえで会社に貢献できた利益額を表します。

 

 

 


2022-09-20 13:26:00

新客を獲得し続けるための利益を出すための勇逸の方策は、既存客からの売上を喚起(Activation)することです。 

そのための方法全般がいわゆるCRM(Customer Relationship Management)です。既存客からの売上の経費効率を上げるためには顧客データを取得して 個々の既存客に直接アクセスできることが大前提です。 CRMとはこのデータベースに基づくマーケティングといえます。 目的は、購買実績のある既存客に次の購買を促すためのコミュニケーションを発信することです。 それぞれの顧客のデータによっていかに最適なタイミングで最適な情報を送れるか、が獲得すべきノウハウになり、それを磨くことで同じコストに対してより大きな売上が作れるようになり、利益の源泉になるのです。

ではどんなデータをどういう風に活用するのがよいのか? まず不可欠なのが①デジタルコミュニケーションのためのアドレスそれと➁購買履歴(いつ何をどれだけ買ったか)です。 個人情報の提供を求めるのが難しくなる中、最低限①だけあれば(➁は許可なく入手できるので)CRMは可能です。 CRMを効率化するために知りたいことは、「次にいつ何を買うか」ですから、購買データさえあればある程度の精度は確保できます。 逆に言うと、それ以外のデータ、名前・年齢・住所・電話・性別・職業などのデモグラフィックデータは、顧客データ名寄せ(通常電話番号を使う)や平均的な顧客像を理解するためには役立ちますが、CRMにはどうしても不可欠というものではありません。逆に言うと、最初の購買履歴を見て次の購買を類推するパターンを見いだすことがCRMの基本ともいえます。 

 

ではこの重要なCRMの効果測定のポイントは何か? ふたつあります。 ひとつはコミュニケーションの効率を測る「レスポンスレート」。 使えるメディア別に、送信に対してどれだけの購買があったかを測る指標です。 これが高いほど効率がいい。 同じメディアでも内容を変えて送り、どちらの内容の方がレスポンスが高かったかを測定し、つぎの内容の改善につなげていくという試み(ABテスト)を常に行うことも大切です。 こうしてCRMの精度を高めていきます。  しかし実際にはメッセージを受け取らなくても購買はするということも一定のレベルであるため、これもレスポンスには含まれてしまいます。 そのため、真の効果を測るためには、一定数の既存客(コントロールグループ)にはメッセージを送らず、全体のレスポンス率からその層のレスポンス率を引いたもの、すなわちコミュニケーションしたことによる増加(リフトアップ)部分を真の効果とします。 なお、もともと良く買う人たちほどリフトアップは少なそうに思えますが、実際は逆で、レスポンスの高い人たちほどリフトアップもまた高いというのが一般的です。

もうひとつの重要指標は「リテンションレート」です。 これは、年度ごとのパフォーマンスを見るもので、去年の購買者のうち今年も引き続き買ってくれてる人がどれだけいるか、を示します。 新客獲得のコストを回収し新たな資金を生み出すために必要な既存客の売上高は、実は1年分では足りません。 何年も買ってくれることで得られるLTV(Life TimeValue)で見ることが必要なのです。 だから、毎年できるだけ離脱を防ぎ長く買い続けてもらうような施策が欠かせません。 この成果を見るのがリテンションです。 

この二つの指標を追いかけ、施策を磨くことで高めていくことが、高収益企業を作る土台になるのです。

 


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