利益を出すための話
物価が上がっています。 米不足もあって外食は軒並み高くなっています。
その中でもスイーツは特に高くなっていますが販売は好調なようです。
ケーキは1000円越えが珍しくなくなりかき氷など2-3000円でも驚かなくなってきています。
ホテルビュッフェでもランチよりアフタヌーンティーの方が高いということも起きています。
明らかに経費高騰だけが理由ではないはずですが、その要因はなんでしょう?
まずひとつは朝昼晩必需の食事ではなく、プラスアルファであること。
生活に付加価値を加える存在であることです。 電化製品や車はすでに行き渡って新たな付加価値ではなくなっています。
モノから体験へと消費が移る、と言われて久しいですが、こんな身近にもあったのです。
次にそれを支えているのが20代中心とした若い世代であること。
若者は物を買わない、お金を使わないと言われてきました。
その結果どこの商業施設に行ってもみな「3-40代の働く女性」をターゲットにした店ばかりです。
若者には買う店がないのです。 だから仕方なくネットで買っていたのです。
だから「売らない店」を作るなんていうのはただの勘違い。
しかし彼らは賃金も上がり一番使えるお金を持っています。
今やバブル時代のように若者が消費のトレンドを作るようになっているのです。
今の生活にプラスの付加価値を与えるものを20代に向けて届ける事。
これがこれからの重要なターゲットです。
高額品が売れています。
二極化に伴う富裕層の増加の結果、だけではなく、実は高額品はコスパで選ばれているのです。
それはリセールマーケット、いわゆる中古品の流通が活況になっていることによります。 中古品市場が活性化すると、中古品の買取相場(リセールバリュー)が上がります。 たとえば100万円の時計を買うとします。 10万円でも同等な機能の時計は買えますからかなりの高額には違いありません。
しかし3年後に90万円で買い取りしてもらえるとすればどうでしょう。 実質的な支出は10万円になります。 そう、100万円の値札が付いていても、リセールバリューを考えるとその値段は10万円に見えるのです。 100万円のものが10万円で買えるなら、それはかなりのコスパと言えますね。
良いものを安く、という従来の発想では10万円の時計と同等のものを1万円で売れるように作るでしょう。 コスパの良さで確実に支持されます。 しかしコスパを追求するなら、今は100万円で売れる時計を作る、という方向もあるのです。
外資企業の方々と話すと、よく「日本企業にはマーケティングがない」という指摘を聞きます。 本来マーケティングとは営業利益を出すための施策全てを指しますが、日本でマーケティングと言えば狭い意味の広告宣伝を指すことの方が多いでしょう。 日本語では営業戦略がそれに近いのですが、営業と言うとこれまたB2Bの営業を想像しがちです。 このように用語自体があやふやなことからも本来のマーケティングへの意識が希薄だということががわかります。 このことが経営上は生産性や利益率の差になって表れているとも考えられます。
では具体的に何が足りないのか。 私の様々な外資企業との協業の経験から考えると、足りないのはブランド、データ、粗利益の3つが挙げられます。
ではどうすればよいか。 何かベンチマークとすべきものを探してみましょう。
ブランドについてはヨーロッパ特にフランス企業のブランド管理が挙げられます。 なぜならラグジュアリーブランドビジネスはフランスの基幹産業だからです。 アメリカはIT産業、日本やドイツは自動車、これら国の基幹産業は利益を出す術を極めています。 それが国益に直結するからです。
データについては無店舗販売今ではEコマース企業のデータベースマーケティングがベンチマークとなるでしょう。
粗利益については、アメリカの小売業で一般的に行われているマーチャントマージンの管理手法が優れています。
そしてこれらを統合して営業利益に至る一貫したプロセスを示すことで、マーケティング力は著しく向上するはずです。
40年来の経験から導いた「利益を出すために重要な24の数式」の出版が近づいてきました。
カタログ通販時代以来の校正、しかも200ページにわたる校正は、2か月に渡る気の遠くなるような作業でした。
そんな中、表紙の素晴らしいデザイン案が出てきたところで、現実感と期待感が一気に高まりました。
数式といっても内容は重要な数字を要素に分解し、各要素に対して適切な施策を打つ、という極めてシンプルな考え方。
結果が数字で検証できるので、誰がいつやっても同じように結果を高めることができる、それが一番の特長です。
あとは最終チェックを残すのみ!
企業の成長には売上ではなく利益が必要だ。 売上が上がらないと当然利益も上がらないが、売上はあくまで通過点。
売上ではなく、利益を上げる力が「稼ぐ力」になる。 なので稼ぐ力の指標として「営業利益率」が使われる。
生産性とは、時間あたりの利益「営業利益/時間」であるが、実務の中で直感的にわかりにくい。
なのでこれを分解して「営業利益/売上 X 売上/時間」すなわち、「営業利益率」と「時間当たりの売上高」に分けて考える。 そう、営業利益率を上げることと、時間当たりの売上を増やすことを両方やることなのだ。
営業利益率を意識すれば、売上だけを見ずに常に利益率を上げることを考える。 そうすれば自然と利益率の高いビジネスへのシフトが起こる。
売上を伸ばすだけでなく、そこにかかる時間を短くするという意識を持てば、いたずらに残業したり必要以上に精度を上げたりせずにスピードを上げる必要が出てくる。 そう、意思決定の速さが貴重なのもここから来ている。
生産性を上げる、という言葉だけでなく、実際の数字を挙げてどこをどうするという意識を持つことで初めて具体的な改革が生まれてくる。