ビジネスのヒント
同じ目標に向かって戦略を作っているのに、結局各部署がバラバラに動き全社で一体感が得られない。
こうなってしまう原因は見ている指標の違いにあります。
目標は売上という共通のものであっても、各部署でそのために目指す指標は様々です。
担当者ごとに業務が違えばそれぞれ違った指標で管理します。
そのため全社で今何がどうなっているかを知ろうとしてもわからない、ということが起こります。
その間にも大きな無駄が生じている可能性があるわけです。
仕組みづくりの鍵は、全社共通で見るべき指標を決めることです。
各部署ではその数字の達成、改善のために動きます。
よってその数字をみれば全社の現在の進捗状況がつかめるのです。
各部署では時間とともにより細かい数字を追っていくようになります。
しかしこれはあくまで「管理データ」です。 これは無数にあります。
一方で全体を目標に進めるのに必要なのは「経営データ」
これは全社員が共有して一覧できるだけの限られたものである必要があります。
具体的に戦略毎に必要な指標をまとめると、以下の様になります。
各戦略で全社で共有すべき指標は2つあれば十分なのです。
これで仕組み化が完成します。
仕組み、というとマニュアルを思い浮かべるかもしれません。
しかしその二つは全く別物です。
マニュアルとは業務の詳細まで手順を決めてその通りに動くことを求めるもの。
一方仕組みとは「最低限の決め事で全体を目標に向かって効率的に動かす」もの。
マニュアルは個人の自由度を制限するもので、モティベーションにはなりません。
仕組みは逆に個人の自由度には制限がなく、自主性をフルに発揮できます。
ではこの「仕組み」をどうやって作るか、具体的に説明しましょう。
マーケティング戦略で目標とするのは「営業利益」とします。
これが大前提です。
仕組みはここを目指して作っていきます。
まずは「儲かる」仕組みを作ること。
次にその中心にある「売れる」仕組みを作ること。
この優先順位がとても大事なところです。
日常の業務では可視化できる売上が最終目標になりがちです。
特に現場に近くなるほどその傾向が強まります。
だから最初に営業利益を出すための「儲かる」仕組みがあり、
次に売上を上げるための「売れる」仕組みがあるというように作るのです。
P&Lに紐付けて考えると、「儲かる」仕組みというのは、
・いかに粗利益を高めるか?
・いかに諸経費を効率化するか?
・いかに売上を高めるか?
の3つの変数があることが分かります。
この3つそれぞれに戦略を持たせるのです。
粗利益を高める、というのは、高い値入れ(マークアップ)を取りながら値引なく販売することになります。
すなわちこれこそブランド価値を上げるという戦略に他なりません。
諸経費を効率化する、というのは売上の増えないデフレ期では重要で、どこも経費削減一辺倒でした。
しかしそれでは売上向上の原資も削られる恐れがあります。
その先には縮小均衡しかありません。
本当に必要なのは、経費の生産性の向上です。
同じ経費でより多くの成果を上げることを目指すことが大事です。
そして売上の拡大。 これは「売れる」仕組みとして組み立てます。
これが「儲かる」仕組みの全体像です。
この仕組みの全体像を社員全員が理解することがとても大事です。
そしてこれこそが多くの企業でできていないことなのです。
トップの方針が現場に伝わらない、方針が理解されない。
各部署は一生懸命やっているのに、全体としてうまくいかない。
部署間のコミュニケーションがうまくいかない。 などなど。
これらの現象は、マーケティング戦略の全体像を共有できていないことで起こります。
まずは戦略の全体像を明確にして、社内に共有すること。
ここが儲かる仕組み作りの第一歩です。
売上が増えても利益が増えない、これはなぜ起こるのでしょうか?
売上を増やすためにあらゆる施策を講じている。
その結果成果は出ているが、肝心の利益に繋がらない。
そんな時、一体何が起こっているのか?
それは利益率を犠牲にすることで売上を増やしているからではないでしょうか?
一番分かり易いのが値引きです。 値引きをすれば売上は上がります。
小売業なら特売日や夏冬のセールの時期などがあります。
その時にたくさん商材を準備しておかないと売上が取れない。
これが経験則となり、現場は「値引販売のために商品を仕入れることが一番大事」と考えるようになります。
実はこの現場の経験則が企業の利益率を下げる大きな原因になっています。
「売れる」仕組みが「儲かる」仕組みにはなってないのです。
ではどうすれば「売れる」と「儲かる」を同時に達成することができるのか?
そのカギは、P&L(損益計算書)を見れば明白です。
売上高は製品原価と粗利益で出来ています。
その粗利益から販売管理費を引いた残りが営業利益です。
これが誰もが分かる企業の損益の基本です。
では営業利益を高めるにはどうすればよいかを考えましょう。
まず売上を高めること。 これは誰でもわかります。
しかしそれと同時に「粗利益を高める」道があることにも気づくはずです。
じつはここが盲点なのです。
では粗利益を高めるとは何をするのか?
それは「高い値付け」をして、しかも「値引きせず」に売り切ること、に尽きます。
難題に聞こえますが、実現している企業があることもわかるはずです。
たとえばラグジュアリーブランド。 通常より高い、でも値引きせずに売れる。
これが高収益の源泉になっていることは間違いありません。
それはラグジュアリーブランドだから出来る事、ではありません。
実はブランドはどの企業にもあります。
それに気づいていない、もしくは活用する価値に気づいていないだけです。
これこそが「売れる」仕組みを「儲かる」仕組みに変えるためのポイントなのです。
自社のブランド価値を自らが尊重しないなら、いくら売れても利益につながることはないでしょう。
上の表に戻ると、ブランド価値の向上を意識しないと、営業利益を上げる方法は原価の削減か販管費の削減しかありません。
この道を進むとその先に待っているのは縮小均衡です。
永遠にコスト削減を続けるしかなくなります。
売上を作る大前提として、ブランド価値を高めることを置く。
その価値を売値に反映させ、値引することなく販売する。
これを仕組みの中に組み込むことにより、「儲かる」仕組みが完成します。
企業の「経営」とは何か? 突き詰めれば「資産」を「利益」に変えることだと言えます。
企業には一般に「ヒト」「モノ」「カネ」と言われる資産があります。
ならばそれぞれの資産を利益に変えるために、戦略が必要ですね。
ヒトから利益を生み出す、それは「人材戦略」
カネを利益に変えるのが「財務戦略」
そして企業活動の基盤であるモノを利益に変える戦略、
それこそが経営の根幹を作る「マーケティング戦略」です。
ところがこの概念はあまり一般的に認識されていないことが多いようです。
まずマーケティングという言葉が狭い意味=広告宣伝の部署として使われることが多いこと。
もう一つは組織の問題。 マーケティングに関わる部署は幅広く、それぞれが独立していてひとまとめにする組織や役職がないことが多いという理由です。
小さな組織なら企業のトップがその役割を果たすことも多いでしょう。
しかし企業の成長とともに各組織が大きくなると、統一したマーケティング戦略がとりにくくなります。
企業の全体最適より組織ごとの部分最適が優先されるようになってしまうのです。
成長とともに売上や利益を効率的に生み出すのが難しくなるのはこのためです。
利益に問題が出てくる前に、社員全員にマーケティング戦略が「見える」仕組みを作っておくこと。
これが継続的な成長のためには欠かせない、とても重要な要素なのです。
順調に成長してきて、人も増え組織も大きくなった。
しかし最近ちょっとおかしい。
・ 売上は伸びても肝心な利益が伸びなくなった。
・ 各部署でいろいろな施策をやっているが結果が出ない。
・ トップの指示が各現場まで徹底できなくなってきた。
・ 現場では会社の方針に対する不満が増えてきた。
組織が小さいうちは全ての部署がひとつにまとまっています。
しかし人も組織も増えると役職や部署ごとに独自の動きをしてきます。
すると各部署ごとの目標の方を優先するようになってくるのです。
これでは互いに話が通じなくなります。
なぜ現場はトップの経営方針を理解してくれないのか?
トップはなぜ現場の状況をわかってないことばかりやるのか?
お互いに不満がたまり、信頼関係が崩れ、深い溝ができてしまいます。
これを打破するためには全社に通じる「共通言語」を作る必要があります。
それが「数字」です。
難しいことではありません。
売上も利益も会社の業績は数字でできています。
全ての施策を「裏付けのある数字で語る」こと。
それが全部署に通じる共通言語になるのです。
いや、数字ならある。 各部署でちゃんと見ている。
そう、数字は埋もれるほどあるはずです。
しかも各部署でだんだん細かく管理するようになり、
担当者以外では扱えないほどになっていくものです。
これでは各部署で異言語を使っているようなもの。
互いの理解を得るのは難しいでしょう。
大事なことは、トップから現場までが同じ数字を見て、
同じ使命感を持って各自の業務にあたること。
そのための絞られた数字、誰でもわかる根拠のある数字を
抽出し、周知することがとても重要なのです。
現場に膨大にあるのは「管理データ」
全社で共有すべき「経営データ」とは別物です。
成長が踊り場になるのは、決して事業の限界ではありません。
組織が複雑になるにつれて多言語化してしまったという構造の問題なのです。
