収益を上げる話

2022-09-30 13:36:00

店舗では人目を引くための展示や陳列が重要です。 ショーウインドーに代表される飾りつけは季節感を表し商品の購買喚起をそのブランドらしく表現する、一種の芸術とも言えます。 このような飾りつけをVP(Visual Presentation)といいます。 同じように展示・陳列を表す言葉にVMD(Visual Merchandising)がありますが、こちらは全く別物です。 

VMDの目的は「計画した数量通りに販売する」ことです。 売れたらいつでもいくらでも補充できる商材なら、売れ行きが良ければ展開面積を増やせばよいのですが、自社ブランドのアパレルや服飾雑貨などは販売計画に基づいて生産が行われています。 したがって、すべての商材を計画通りに販売しないと売上目標が達成できません。 これを行うのがVMDなのです。

各店舗には必ず消費者の回遊する導線があります。 一番たくさんの人が通る主導線上でしかも最初に触れる場所が一番売れる場所であることが多いし、奥に行くほど販売の可能性は低くなるでしょう。 このように同じ什器でも場所によって売れ行きが違うことを利用すると、場所別什器別で売上予算を配分することができるのです。 これがVMDの考え方です。 何をどこにどれだけ置くか、を決める作業です。 計画数量が多い商材を売れる場所の什器に置く。 これを順番に繰り返すわけです。

次に、売上を上げるためには関連商材の販売も重要な要素ですがこれにもVMDが貢献します。 関連商材、コーディネートして同時に購買してもらえる商材を一緒に見れる場所に配置する。 これもVMDの役割です。 このようにVMDは数字の裏付けがあっての手法です。 したがって、実際に販売開始後に計画と違いがでてきた場合には、VMDの見なおしにより計画に近づけるよう修正することも可能です。 このようにしてVMDによって計画通りの売上を実現していきます。


2022-09-27 13:41:00

マーチャンダイジングを担当する商品部門の責任数字としては、まずは売上があげられます。 それに加えて商品の生産にも責任を持つ立場ゆえ商品原価にも責任があるでしょう。 また売れ行きによって消化を促進するための値引きの判断もあります。商品原価と値引きは最終的に粗利益に影響します。 売上と粗利益を大きくするだけなら在庫は多く持つに越したことはありません。 しかしそれが経営に悪影響を与えることは明白です。 明白なのですが、在庫過多の経営への悪影響がどれくらいなのか、については把握が曖昧で精神的なものだけである場合もあります。 これでは日々の業務で高収益を実現する仕組みとはいえません。 アメリカの小売業で一般的な方法としては、展開終了時に残った在庫についてはすぐアウトレット担当部署に移管してしまうのですが、その際に商品原価の一部を割引して渡します。 過剰在庫を外部の処分業者にディスカウントして販売するのと同じ考え方です。 その際の原価の割引分(Write Off)として把握します。 最終的に、商品担当(Merchantといいます)の責任数字は、売上から原価・値引きを引いた粗利益(Gross Margin)からさらにこの在庫処分のための割引額をひいた額=Merchant Marginとなります。 これが売上、原価、値引、在庫のすべての要素を加味したうえで会社に貢献できた利益額を表します。

 

 

 


2022-09-20 13:26:00

新客を獲得し続けるための利益を出すための勇逸の方策は、既存客からの売上を喚起(Activation)することです。 

そのための方法全般がいわゆるCRM(Customer Relationship Management)です。既存客からの売上の経費効率を上げるためには顧客データを取得して 個々の既存客に直接アクセスできることが大前提です。 CRMとはこのデータベースに基づくマーケティングといえます。 目的は、購買実績のある既存客に次の購買を促すためのコミュニケーションを発信することです。 それぞれの顧客のデータによっていかに最適なタイミングで最適な情報を送れるか、が獲得すべきノウハウになり、それを磨くことで同じコストに対してより大きな売上が作れるようになり、利益の源泉になるのです。

ではどんなデータをどういう風に活用するのがよいのか? まず不可欠なのが①デジタルコミュニケーションのためのアドレスそれと➁購買履歴(いつ何をどれだけ買ったか)です。 個人情報の提供を求めるのが難しくなる中、最低限①だけあれば(➁は許可なく入手できるので)CRMは可能です。 CRMを効率化するために知りたいことは、「次にいつ何を買うか」ですから、購買データさえあればある程度の精度は確保できます。 逆に言うと、それ以外のデータ、名前・年齢・住所・電話・性別・職業などのデモグラフィックデータは、顧客データ名寄せ(通常電話番号を使う)や平均的な顧客像を理解するためには役立ちますが、CRMにはどうしても不可欠というものではありません。逆に言うと、最初の購買履歴を見て次の購買を類推するパターンを見いだすことがCRMの基本ともいえます。 

 

ではこの重要なCRMの効果測定のポイントは何か? ふたつあります。 ひとつはコミュニケーションの効率を測る「レスポンスレート」。 使えるメディア別に、送信に対してどれだけの購買があったかを測る指標です。 これが高いほど効率がいい。 同じメディアでも内容を変えて送り、どちらの内容の方がレスポンスが高かったかを測定し、つぎの内容の改善につなげていくという試み(ABテスト)を常に行うことも大切です。 こうしてCRMの精度を高めていきます。  しかし実際にはメッセージを受け取らなくても購買はするということも一定のレベルであるため、これもレスポンスには含まれてしまいます。 そのため、真の効果を測るためには、一定数の既存客(コントロールグループ)にはメッセージを送らず、全体のレスポンス率からその層のレスポンス率を引いたもの、すなわちコミュニケーションしたことによる増加(リフトアップ)部分を真の効果とします。 なお、もともと良く買う人たちほどリフトアップは少なそうに思えますが、実際は逆で、レスポンスの高い人たちほどリフトアップもまた高いというのが一般的です。

もうひとつの重要指標は「リテンションレート」です。 これは、年度ごとのパフォーマンスを見るもので、去年の購買者のうち今年も引き続き買ってくれてる人がどれだけいるか、を示します。 新客獲得のコストを回収し新たな資金を生み出すために必要な既存客の売上高は、実は1年分では足りません。 何年も買ってくれることで得られるLTV(Life TimeValue)で見ることが必要なのです。 だから、毎年できるだけ離脱を防ぎ長く買い続けてもらうような施策が欠かせません。 この成果を見るのがリテンションです。 

この二つの指標を追いかけ、施策を磨くことで高めていくことが、高収益企業を作る土台になるのです。

 


2022-09-13 10:39:00

ブランドとは何か? ブランドとはとても抽象的でわかりにくいイメージであり、簡単に言えば記号であるといわれたりします。 しかし先に述べたように、ブランドとはその企業や製品の持つ付加価値を分かりやすく伝える手段、いわばメッセンジャーです。 ではブランドはどうあるべきか? 

 

まず大前提として、企業側が伝えたい付加価値をきちんと認識し設定することです。 ブームに乗っかり他社を追随しなんとなくできた製品群ではどんなにいい名前を付けてもそれが表す「価値」がない限りブランドとは言えません。 製品の中身(コストの内訳)は原材料と加工賃。 その過程でどんな価値をつけて他社と差別化し消費者の支持を得ることを目指したのか、これをはっきりさせておくことが大事なのです。 品質にだけはこだわり抜いた原材料と加工方法なのであれば、それを主張するメッセージとともにふさわしい表現方法とクリエイティブが必要で、そのメッセージを通じて受け手の消費者がその価値を理解する。 これがブランドを通じた付加価値の醸成です。 使ってみてわかる価値なら消費者レビューが大事だし、誰にその情報をリーチしたいのかによって使うメディアも変わってきますし、表現も変わります。 ただし一貫すべきはどんな価値を伝えたいか、というところで、これがぶれないブランド育成には不可欠です。 ラグジュアリーブランドはそのラグジュアリーさを付加価値としているのでそれを追求したメディアとクリエイテイブになっているわけで、違う付加価値を持つブランドではそれと同じでなく、当然違うメディアとクリエイテイブが必要になるのです。 同じなのはそのブランド価値を貫き通すこと。 これがブランドを育てます。

 

ではブランドを育てることがどう利益につながるのか? 一つは成熟した消費者に訴える付加価値を持つことで売上が上がる効果。 もう一つが付加価値が上がるほど高い価格をつけられ、また無理に値引きにコストを掛けなくても競合の中で売れるようになり高い粗利益が実現できること。 それゆえ、ブランド価値を上げるためにかけたコスト以上の効果を得ることができ、企業が成長するわけです。

 

消費者が成熟した今、みかけだけのカッコよさでは誰も価値を感じてくれません。 が一方でモノがあふれる今は付加価値こそが消費を決定する重要な要素になってきています。 品質、価格、デザイン、機能性、それ以外に産地や生産者保護を含めた企業姿勢までもが十四那付加価値として認識されてきています。 今まで以上にブランドとそれが表す「企業が社会に提供する付加価値」が大事な時代になっているのです。


2022-09-12 11:13:00

マーケティングというと、何かクリエイテイブな人が作る特別な企画、のようなイメージがあるかもしれませんが、実際には、「誰に何をどうやって売るか」を決める、いわば企業の核となる「営業戦略」全般のことをさすものです。 また、この営業戦略を明確にして消費者にも伝わるようにするためには「ブランド」というメッセージが不可欠です。 すなわち、企業の営業戦略とは「ブランド・マーケティング戦略」ととらえることができます。 

なお、ブランドとは何もラグジュアリーアイテムにしかないものではありません。 それと同じようにすべての企業、すべての製品には伝えるべき価値があるはずです。 それを消費者に分かりやすく伝えて購入につなげるための手段がブランドと考えるべきです。 価値をきちんと伝えられれば、無用な値引きなどをせずに、高い利益率を実現できるようになる、これがブランド・マーケティングの真価です。

営業戦略は、何をどれだけ売るかを決める「商品(マーチャンダイジング)戦略」、誰にどうやって伝えるかを決める「マーケティング(狭義の)戦略」、そしてどこでどうやって売るかという「販売戦略」の3つが柱になります。

この3つの戦略が別々に動くのではなく、ひとつの大きな営業の基本戦略に基づいてシンクロして動くことで大きな成果を生むことができます。 それぞれの部署が大きくなると独立性を持ち、独自の戦略をもって走りがちですが、毎年年度の予算と戦略を決める際には、そのおおもとになる営業の基本戦略を決めることがとても重要です。 

この仕組みをきちんと機能させることで、最小のコストと労力で最大の効果を上げることができるようになっていくといえます。


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