利益を出すための話

2022-09-13 10:39:00

ブランドとは何か? ブランドとはとても抽象的でわかりにくいイメージであり、簡単に言えば記号であるといわれたりします。 しかし先に述べたように、ブランドとはその企業や製品の持つ付加価値を分かりやすく伝える手段、いわばメッセンジャーです。 ではブランドはどうあるべきか? 

 

まず大前提として、企業側が伝えたい付加価値をきちんと認識し設定することです。 ブームに乗っかり他社を追随しなんとなくできた製品群ではどんなにいい名前を付けてもそれが表す「価値」がない限りブランドとは言えません。 製品の中身(コストの内訳)は原材料と加工賃。 その過程でどんな価値をつけて他社と差別化し消費者の支持を得ることを目指したのか、これをはっきりさせておくことが大事なのです。 品質にだけはこだわり抜いた原材料と加工方法なのであれば、それを主張するメッセージとともにふさわしい表現方法とクリエイティブが必要で、そのメッセージを通じて受け手の消費者がその価値を理解する。 これがブランドを通じた付加価値の醸成です。 使ってみてわかる価値なら消費者レビューが大事だし、誰にその情報をリーチしたいのかによって使うメディアも変わってきますし、表現も変わります。 ただし一貫すべきはどんな価値を伝えたいか、というところで、これがぶれないブランド育成には不可欠です。 ラグジュアリーブランドはそのラグジュアリーさを付加価値としているのでそれを追求したメディアとクリエイテイブになっているわけで、違う付加価値を持つブランドではそれと同じでなく、当然違うメディアとクリエイテイブが必要になるのです。 同じなのはそのブランド価値を貫き通すこと。 これがブランドを育てます。

 

ではブランドを育てることがどう利益につながるのか? 一つは成熟した消費者に訴える付加価値を持つことで売上が上がる効果。 もう一つが付加価値が上がるほど高い価格をつけられ、また無理に値引きにコストを掛けなくても競合の中で売れるようになり高い粗利益が実現できること。 それゆえ、ブランド価値を上げるためにかけたコスト以上の効果を得ることができ、企業が成長するわけです。

 

消費者が成熟した今、みかけだけのカッコよさでは誰も価値を感じてくれません。 が一方でモノがあふれる今は付加価値こそが消費を決定する重要な要素になってきています。 品質、価格、デザイン、機能性、それ以外に産地や生産者保護を含めた企業姿勢までもが十四那付加価値として認識されてきています。 今まで以上にブランドとそれが表す「企業が社会に提供する付加価値」が大事な時代になっているのです。


2022-09-12 11:13:00

マーケティングというと、何かクリエイテイブな人が作る特別な企画、のようなイメージがあるかもしれませんが、実際には、「誰に何をどうやって売るか」を決める、いわば企業の核となる「営業戦略」全般のことをさすものです。 また、この営業戦略を明確にして消費者にも伝わるようにするためには「ブランド」というメッセージが不可欠です。 すなわち、企業の営業戦略とは「ブランド・マーケティング戦略」ととらえることができます。 

なお、ブランドとは何もラグジュアリーアイテムにしかないものではありません。 それと同じようにすべての企業、すべての製品には伝えるべき価値があるはずです。 それを消費者に分かりやすく伝えて購入につなげるための手段がブランドと考えるべきです。 価値をきちんと伝えられれば、無用な値引きなどをせずに、高い利益率を実現できるようになる、これがブランド・マーケティングの真価です。

営業戦略は、何をどれだけ売るかを決める「商品(マーチャンダイジング)戦略」、誰にどうやって伝えるかを決める「マーケティング(狭義の)戦略」、そしてどこでどうやって売るかという「販売戦略」の3つが柱になります。

この3つの戦略が別々に動くのではなく、ひとつの大きな営業の基本戦略に基づいてシンクロして動くことで大きな成果を生むことができます。 それぞれの部署が大きくなると独立性を持ち、独自の戦略をもって走りがちですが、毎年年度の予算と戦略を決める際には、そのおおもとになる営業の基本戦略を決めることがとても重要です。 

この仕組みをきちんと機能させることで、最小のコストと労力で最大の効果を上げることができるようになっていくといえます。


2022-09-08 12:17:00

会社の仕事の成果が一番はっきりわかるのは「営業利益率」です。

売上に対してどれくらいの儲けがある仕事なのか、を示した数字だからです。 いくら売上が伸びても、それが儲からない売上だとしたら、仕事をがんばった対価としての報酬は上がりません。 それでは仕事をやる意味がないということです。 まずこの意識を持つことが大切です。

ではどうやって営業利益を出すか? これは売上を増やすことと経費を減らすことの二つが基本です。  「いかにして最小の経費で最大の売上をつくるか」これが仕事の基本中の基本です。  では最小の経費とはどこが目安になるのか?  これには各社でほぼ固有の粗利率をもとに考えます。  売上が立つと製品原価は必ず生じます、他の経費と違ってこれを避けることはできません。  なので、あらかじめ決まっている粗利益率の中から、どれだけの営業利益率を出すのかを決めれば、残りが諸経費をつかっていよい範囲になるということです。  粗利率が50%あるということは、その中から営業利益と諸経費をだすということになります。 営業利益率を10%にしたいならば、諸経費の合計は40%を超えてはいけない、この範囲内で設定して管理する、ということです。 おおまかには、粗利益の20%を営業利益として残し、のこりを諸経費に使うといったように使われます。 なので、粗利益水準によって営業利益率を水準も決まってくるのです。

 

粗利益水準が高い=製造から販売まで自社で行う業態の場合、目標とする営業利益率はグローバルでは15%、日本では10%がひとつの目安になり、これを達成すれば優良企業ということができます。  日本企業の水準は低いのにはいくつか要因があります。  ひとつは粗利益水準の低さ。 これはブランド価値の不足によるもので、価格を上げきれてないということです。 もうひとつは業務すべてのコストの高さ、これは生産性、効率性が十分ではないというか、そのことが仕事をやるうえであまり重視されていないという問題です。 よく言われるデジタル化の遅れもひとつのわかりやすい要因ではありますが、それ以上に、各部署ですべての仕事で時間当たりどれだけの売上・または利益を生み出しているか、がわからないことが一番の原因です。 自分の仕事が時間当たりに生産する付加価値、これが自分の会社への貢献度、というのが仕事をする基本の動機になるべきですが、それすらないことが多いのが問題です。 ますは意識改革、そしてその成果が可視化できる仕組み作り、これはふたつとも大きな課題と言えます。 しかしこれこそが高収益企業への基盤です。 それにより日本企業の生産性も大きく上がり、営業利益率も向上するはずです。    

 

売上が減ると、営業利益を確保するためには経費を削減しなければなりません。

ここを躊躇なく進めることも高収益企業となるためには大事なところです。 削れない理由はいろいろありそれぞれ正しいのですが、それでも優先すべきは営業利益の確保、この姿勢を忘れてはいけません。 経費削減は必ずできること。 できるできないは単に決断だけの問題なのです。

ここでひとつ忘れてはいけないことがあります。 経費の中には、それにより売上お向上に直結する、いわば投資的な経費があります。 店舗人件費、広告費、店舗建築費です。  しかし経費を削減しなければならないとき、最も大きな金額を柔軟に削れるのもここなのです。  これら経費を削ることはブランドのパワーを削ることにもなります。 長期化すると、社員のマインドまで縮み志向になってしまいます。 よって、削減に躊躇すべきではないですが、削減の期間をできるだけ短くすることが最重要のポイントです。 すこしずつ長い間、よりも大きく一度に、というほうが短期でのリカバリーを可能にします。 そして収益を回復しなるべき早く成長軌道に戻すことを目指すことが大切です。


2022-09-07 10:51:00

売上総利益=粗利益の話です。 

粗利益は売上から製品原価を引いたものですが、この製品原価というのは同じ製品であってもその企業の業態によって大きく異なります。 生産者から商品(NB)を仕入れて販売するだけだと仕入れる製品の原価は高く=粗利益は少なく、自ら生産し(PB)販売する場合は粗利益は高くなります。 生産・流通・在庫などに対するリスク=コストを内製化すればするほどリスク=コストは高まるが対価である粗利益は高くなるというメカニズムです。 なので、どこまでリスクを取る業態なのかによって、基本的な粗利益の対売上比率(粗利率)はおおよそ決まってきます。 自らのブランド製品を自社工場で生産し、倉庫で保管し、自社の直営店に輸送して販売する、自社ですべての段階のリスクを持つなら粗利益は高くないとそれぞれの経費を吸収できません。  一方で他社が生産した商品を自社の店舗で販売するだけならば粗利率は全社に比べて低くなります。 ここが大事なところで、原価というのは避けられない経費ですが自社の業態によって粗利率はあらかじめ規定されるので、その企業が利益を出すためにはその他の経費率は自社の粗利率以下に抑えなければならないということです。 

 

したがって、粗利益率の高低により目標の営業利益率も左右されます。 リスクの高いビジネス=高い粗利の事業は最終的に営業利益の水準も高くなります。 製品を仕入れる百貨店、量販店、コンビニなどの業態はでは粗利率は低く、絶対的な営業利益率水準も 自社ブランドの専門店に比べれば低くなります。

どんな業態でも、営業利益を出すために考える第一歩がその業態においての粗利率水準の中でいかに高くできるか、また計画した粗利率をいかに下げすに維持できるか、ということになります。  粗利益が下がると、どこかの経費を削減しないと取り返すことができません。 粗利益はどうしても確保すべき最初の砦といえます。 売上が減ると経費を削減しないと計画通りの利益はでません。 これは正しくは、売上が減ると粗利益が減るので、経費を削減しないと計画通りの利益はでない、と考えるべきです。

 

しかしここで注意すべきところは、粗利益が減る理由は、売上が減る以外にたくさんあるということです。 粗利益という、いわば利益の源泉を痛める原因には、次のようなものがあります。

①割引: 販促による実質値下げです。 ポイント付与、セット割引、キャンペーンでの割引、および購入特典商品(GWP)なども、マーケティング経費ではなく貴重な粗利益を削る費用項目になります。

②値引: セール時に行う売価の下げです。 これも集客になるからと事前に計画に値引き販売を組み込むことが多いですが、安易に粗利益を削ることが粗利率を落とし営業利益率を落とすことに直結することを理解しておきましょう。

③在庫処分損:  一方で製品原価には在庫処分にかかわる費用も含まれます。 どんなに売上を上げ、値引きをせずに粗利率を確保しても、余剰在庫を出してはその処分に関わる費用が最終的に粗利益を下げることになります。 値引きも含めて、このメカニズムを理解して判断していくことが大切です。 要は仕入れの精度を上げて余剰在庫を作らないことが、最終的に粗利益額と粗利益率の向上にとても重要だということです。

③品切れ: 品切れによる機会損失。 これは実店舗ではなかなか認識されにくいですが、本来在庫があれば売上になったはずの潜在ニーズがどれだけあったか、ということです。 たとえば在庫切れ前のその製品の全体に占める売上割合を、品切れ後の総売上額にかけることで簡易的に判断する、とかこれを検証して品切れをなくすよう仕入精度を上げていく作業が必要です。 

ラグジュアリーブランドの多くはブランドを大事にしてその価値を上げるということをしますが、これはすなわち値引きや割引をしなくても売れるという、高い粗利益を実現するということを目指しているのです。 これによってはじめて高い営業利益率が継続的に実現できるのです。

 

このように、粗利の維持向上には割引・値引の適切な制御と、精緻な仕入在庫管理が重要だということがわかります。 日々売上高だけに目を向けていると知らず知らずのうちに粗利益を削っているということにならないよう、業務の仕組みをつくることが大事なポイントです。 ここがいい加減だとあとのツケは諸経費の削減しかありません。 売上と同時に粗利益と在庫高を同時に管理する仕組みが必要です。


2022-08-31 11:51:00

テーマは「社員の成長を通じて企業を高収益化する」こと。 そのためにはまず収益を高めるための基本である経営学をすべての分野の社員が基礎知識として共有する必要があります。 今の会社は組織がフラットになりしかも各部署での専門性が高まり、同じ会社でも他部署の仕事を理解したり連携してよりスムーズに業務を進めるといったことがとても難しくなってきています。 しかし経営学というのは、自分の専門分野だけ理解していればよいものではありません。 ここでは経営にかかわるすべての分野での「仕事の基本」を分かりやすく解説することで、自分自身がひとまわり成長し、より質の高い仕事を成し遂げ、将来経営に関わっていける人材となることを支援していきます。


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