利益を出すための話

2022-12-27 23:42:00

 

経営者から、あなたは何のために仕事をしているのか? こう聞かれたときにどう答えますか?  正解は「利益を出すため」です。  自分のキャリアのため、関係する人たちを幸せにするため、社会をよくするため、などいろいろな答えがあると思います。 しかしあくまでひとつの営利団体に過ぎない「会社」でそれらを実現するために必要なことは、とにかく利益を出すことなのです。 (もちろん不正をすることは論外ですが)

これをみんなが当たり前のこととしてわかっているということが大事です。 企業の基本なのですが、意外と抜けがちです。 実際には利益を目指すことは良くない事、というような感覚も広く存在しています。 利益だけを目指す中で社会的な問題に発展することは確かに数多くあります。 しかしそれは利益を目指すのが悪いわけでなく、それ以外に果たすべきことをしていなかった、ということが原因です。 利益を出す行為そのものに対して嫌悪感がありすぎることが、日本経済の低迷の原因のひとつだと言っても過言ではないでしょう。 明らかに学校教育の不足によるものです。 投資教育の必要性が議論されるようにはなりましたが、それは将来の社会保障財源の不足を補う目的からでてきたもので、国としての経済発展のための教育はいまだ全く行われていないといってもいいでしょう。  

 

こんな状況だからこそ、会社ではまず最初に利益を出すことが最も重要なんだという認識を共有することを行っておくべきなのです。

 

 

日本企業の生産性の低さ、というのがよく話題になりますが、その真偽は別として、利益を志向することで生産性は上がります。 生産性が上がると利益が拡大します。 これは間違いない事実です。  生産性が低いのは利益を志向していないからです。

 

最近Z世代はタイムパフォーマンス重視と言われることがあります。 なんでも短縮して見聞きしてしまう、というような行為だけ見てなんでも表面的なものにしか興味を示さないといった多少否定的なとらえ方をされることもあるかと思います。 しかしこれはまさに生産性を重視していることにほかなりません。 同じ効用を得るのに、2時間かけるより1時間しかかからないほうが生産性が高い。 だから短い方を選ぶ、というごく自然で正しいことなのです。 

言い換えれば、従来提供されているサービスがあまりにも生産性の低いものが多いということです。 長年決まっている「尺」という時間枠があるので、中身は同じでもその尺を満たすため間延びさせる、ということが漫然と行われてきたことに違和感を持って抵抗しているわけです。 であれば仕事も同じように考えて見直すべきでしょう。 その基本がまず利益志向で仕事をするということになるのです。

 

利益志向を根付かせるにはまず利益に関わる数字の開示が前提になります。 そして自分の業務がどれだけ会社の数字に貢献しているのかがわかる仕組みと、その結果が反映される評価の仕組みが必要です。 その中で自分の仕事がどのように利益につながるのか、常に意識をしたうえで業務にあたること。 これをすべての社員が互いに求めていくような環境を作ることです。 そういうと何かギスギスしたフ雰囲気になりそうですが、そうではありません。 利益につながらない無駄なことはしない、という合理的な仕事の仕方になって、生産性が上がるということです。 自分の結果だけ考えて協調性や思いやりをなくすというようなこととは全く違います。  経営者感覚をもって仕事をする、ということの第一歩が、社員の生産性を上げることです。

 

では具体的には何をすればよいのか?

 

生産性とは一人時間あたりの売上または利益です。 すごく単純に言うと時間当たりの仕事量です。  これを上げるためにはもちろん自動化、機械化などのDXは有効です。 しかしそれ以前に大事なことがあります。 それは、仕事の時間は誰のものかという認識です。 わかりにくい表現ですが、会社での時間は自分のものではなく雇用主である会社のものだということです。 基本的に報酬は時間に対して払われています。 決まった時間にこの業務を遂行するのでこの給与、という契約です。 業務の遂行を考えず、単に時間に対して給与が発生している、と認識していることが多いのではないでしょうか。 たとえば、自分が何かを3日間で仕上げるよういくらかの金額で頼んだとします。 それが3日たってもできず、それどころかあと1日かかりますので追加料金をいただきます、と言ってきたらどう思うでしょうか? 納期遅れの上に追加料金なんてとんでもない、代金は一切払えない、となってもおかしくないですね。 しかし自分の仕事になるとこれと同じことを行ってもなかなか気づきません。  自分のほかの仕事の都合でできなかったから、自分がまだ満足出来てないから、などの理由で時間がかかり、それに対して残業代をもらうことに全く抵抗がないのではないでしょうか。  この認識をまず改める必要があります。 時間は会社のもの、自分のものではない、という意識です。 時間は勝手に延ばせない、と思うことが、時間あたりの仕事量である生産性をあげる基本なのです。

 

そう考えると、まず仕事がスピード重視だということが理解できます。 細かいことにこだわって遅くなるより少しでも早く仕上げることには価値がある、とわかるからです。 ではスピードのために品質は犠牲にしていいのか、という問いがでてきますが、元来仕事とは相反する利益のどっちかを犠牲にするもの(それは単なる作業)ではなく、どちらも取るにはどうするか考えるものです。 決してどちらも犠牲にはしませんが、その中で優先順位はスピードにあると考えましょう。 

 

業務改善もここから起こります。 昨年以上の結果を残すには、同じ時間でより多くの仕事をすること、すなわち、同じ仕事なら昨年より短い時間で行えるようにすればよいのです。 逆にこれがなければ処遇が上がる根拠もないとうことです。

 

会議の考え方も変わります。 会議にも生産性があります。 会議は参加者すべての時間を預かることになるので、その時間でどれだけの成果を参加者がもって帰れるか、を意識して取り組むことで会議自体の生産性が上がります。

 

DXは業務の生産性向上を進める方法として有効です。 しかし最も重要な使い道は、意思決定の生産性を高めることです。  企業の意思決定は特定の人にだけ情報が集中してそこで主観的な意思決定がされることがよくあります。 これは早いし首尾一貫している良さもありますが、個人依存を脱することが出来ず継続性や発展性がありません。 DXによってあらゆるデータをすべての人が同時に入手できれば、客観的な意思決定をせざるを得ず、社員の経営参加度と意識が上がり、継続的、発展的な仕組みとなります。

 

このように、極めて単純な話ですが、会社の利益を上げる=生産性を上げるための原点は、「利益を出すことが仕事」だと思うことなのです。

 

すべての社員がそう答えるという自信はありますか? 

 

 

 

 


2022-11-04 10:49:00

 

設計、建築は専門家がやること、ではなく、しっかり内容を理解しておくことが必要です。

重要なチェックポイントを押さえることが大切です。

①設計: 設計の良し悪しは売上や人件費に影響します。 現地調査と並行して望ましい店舗デザインが可能かどうか、検証することが大事です。 その場合、通常の平面図で検証するのはとても難易度が高いと言えます。 そのため、店舗を立体3Dで見えるようなソフトを使って検証することをお勧めします。 館内トラフィックからの視認性や最適なサインの位置と角度、また店内の客導線とともに作業導線も容易に確認できる効果があります。 なお設計費は工事費のおよそ10%前後が目安です。

➁内装工事費: 大きな投資なので、しっかりした検証が必要です。 内訳は、床壁天井の標準工事費、サインと照明費、什器費、そして空調等のB工事が大きなところです。 標準工事費は候補地の面積に比例します。 照明も面積比例ですが、サインはその数によります。 什器も広さによりますが、標準什器数があるので基本的には全店ほぼ一律です。 

工事費を比較検討するには、複数社から見積もりを取ります。 その際、図面を作成し見積前提の条件を整理すること、提出フォーマットも一定にして比較可能にすること、そして出た見積もりの妥当性を査定する、という業務が発生します。 これは施工の管理業務合わせて設計会社に任せることが妥当です。 件数をこなして標準工事費などが明確になってきたら、複数店舗の設計から施工まで一社に任せる入札を行うこともできます。

③事後検証: 建築で大事なのは、作って終わりにせずしっかりと検証することです。 

売上は計画通りだったか、客導線・作業導線は想定通りだったか、建築コストは想定内だったか、今後への改善余地はないか・・・などを開店後に現場の意見も聞いたうえで検証する。 この作業を繰り返すことで初めて高収益の店舗網を作り上げることができるようになります。 そうすることで、会社で最も大きな金額を動かす部署としての大きな責任に応えることができるのです。


2022-11-04 10:47:00

 

出店は大きな投資を伴い、損益を長期で規定してしまいますので、最初の調査の役割は重大です。

①商圏調査:まずはデータ上で当該地域(市・区レベル)の商圏調査を行います。

➁施設調査: 次に商業施設の場合はそのデータを知ることが重要です。

③実地調査: これに基づき実地で調査を行います。 客導線、通行量、客層、視認性、地形(じがた)です。

 

地域の人口と小売売上高の大きさがまず出店可否の大きな目安になります。 扱う商品の購入頻度と価格帯によって必要な商圏の人口や小売規模が変わります。 食品等の毎日買う比較的安価ないわゆる最寄り品は小さい商圏で成り立ちます。 何店か比較するアパレルなど買回り品は中規模が必要、そして購入頻度が低く単価も高い家具のような専門品は大きな商圏が必要です。 

特定の年齢層を狙う場合はその年齢層の人口の多寡をチェックします。

 

商業施設に入居する場合は施設側が商圏の人口データや競合データを細かく持っていることが多いのでそれを参考にします。 地図上で示されていることが多いので、自店競合もチェックできます。 

買回り品の場合は、その商業施設での同業種の合計売上規模が、自社の売上見込みと最も強い相関を示します。 同業他社が多いほど集客力が上がり自社の売上にもプラスのなるということです。 競合他社がいることはマイナスではなくプラスなのです。 

また、商業施設内のフロア別、エリア別の売上構成、客導線の情報も入館者の入口別のシェアも含めて入手しましょう。 好ましい主導線や避けるべきエリアが見えてきます。 

顧客の属性についてもハウスカードがあれば詳細に持っています。

 

最後に実地調査。 いろんなデータを見たうえで現地を実際に歩いてチェックします。 できればまずその地域全体でどういう人がどこに買い物に行くのか、という全体像をつかみます。 地元の人は買い物にもそれなりの経路のパターンを持っていて、それは簡単には変わりません。 

次に当該施設の調査です。 まず通行パターン(トラフィック)を把握します。 どこをどちらに向かってどれくらい通っているのか。 これが売上を大きく左右しますから入念に調査します。  最低限朝(開店直後)、昼、夕方(繁忙時間)、それを平日、休日でわけて調査します。 と言ってもカウンターをもって座り込んで調査するわけにいきませんから、 候補地前で1分間の通過人数を何回か数えて平均する、というような簡易的な方法で構いません。 

同時に競合他社の立地の確認。 競合はある方がよいのですが、見劣りする立地ではブランドとして好ましくありません。 それで業界序列が決まってしまうようなところがあり後々の出店にも影響するので、同業の中での相対的な立地の良しあしには強くこだわるべきです。 

また、店舗デザインもこの段階で施策してみることがお勧めです。 地形が設計上不具合がないかどうかをチェックするのと同時に、建築規制についての協議もするためです。 施設内には建築基準法的なルール以外に施設独自の建築、装飾の規制がある場合が多く(特に百貨店)、それがデザインの障害にならないかを事前にチェックすべきです。 


2022-11-02 10:40:00

 販売戦略を立てるためにはまず消費者の購買行動を考えてみましょう。 まず大多数の消費者は買い物をはっきり決めずおおよその選択肢や何かあればという程度の意思で来店します。 最終決定は実際に見てから、と思っています。  とはいえ、それがないと困るかというと、そういうことまずありません。 なので、何か背中をもう一押ししてくれるものを待っている、というのも確かです。 

しかし現実にはピンとくる商品がなかったり、値段が予算と合わなかったり、色やサイズが欠けていたりで空振りに終わることも経験上知っていて、それはなんとか避けたいという気持ちもあります。  消費者にとって何も買わずに帰ることが満足度ゼロの状態と言えるのです。 

こう考えると売上金額というのは売る方の満足度でなく、消費者の満足度を示すものだと考えることができます。 販売スタッフは満足度を高めるためには最大限の努力をすべきなのは当然のこと。 販売とはまさに顧客満足を届ける行為なのです。 

この認識を持つことで販売という仕事に誇りを持ち、自信をもって業務にあたるとともに、消費者に満足を与える仕事の喜びを実感できるようになります。 


2022-10-03 16:53:00

経営戦略には3つの戦略軸があります。 

①何を売るか=商品戦略 (Merchandising)  

②どう集客するか=集客戦略 (Marketing) 

③どう売るか=販売戦略 (Sales) 

ただし長期的にみると、もうひとつあります。 がここでは上記3つの軸で考えます。 

④どこで売るか =出店戦略 

各戦略軸は異なった部署が受け持っており、たとえ同じ売上目標を達成するときでも、それぞれで違った数字を追っています。

商品戦略: 売上= 商品A + 商品B + 商品C ・・・ 

集客戦略: 売上= 新客売上 + 既存客売上 (メディア X レスポンス率)   

販売戦略: 売上= 客数 X 客単価 (商品単価 X UPT)  

同じ目標に対して常に3方向からの計画と検証が可能ということはそれだけ計画達成の精度が3倍に高まります。 常にこの3点からの検証をすべての部署で行うことがとても重要なのです。 売り上げは単一の部署で作れるものでは決してありません。

その理由は、消費者の購買行動には各戦略の要素が複雑に絡み合ってできているからです。 だから一つの目標に向かって3つの戦略軸それぞれが強い戦略を持ち、かつ3つが連動してはじめて結果が出せるのです。 どれかひとつが欠けても結果は出ません。 


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