利益を出すための話
ここ10年、都心部の再開発ではその規模の大きさに反して以前のように消費者が殺到するということがなくりました。
その大きな理由は商業部分が魅力に欠けるからです。最近の開発は商業施設を作るのではなく、高層階のオフィスや住宅、ホテルが主体。
土地に加え当然建築費も跳ね上がります。 これが低層階の商業部分の賃料を高騰させるのです。
それでは今伸びている妥当な価格のテナントでは採算が合わず、ラグジュアリーブランド頼みになります。
ただラグジュアリーブランドの店舗数は限られるので、多くの商業施設はそれ以外のテナントを求めて迷走することになります。
若者向けの店、体験型の店と言っても成功例はニンテンドーやポケモンセンターなどに限られ、一時流行った「売らない店」というのも成功しているとは言えません。
このような現象はすでに海外では10年近く前に起こっており、マンハッタンでは小売店やレストランが消え、大手メーカーのショールームだらけになりました。
では消費は限界なのか。 郊外に目を転じると、イオンモールやホームセンターが超大規模な店舗でワンストップショッピングを実現しています。
圧倒的なテナント数に映画やアミューズメントはじめクリニックや習い事まで取り揃えた、いわば現代の消費の集大成のような場所になっています。
その姿は50年前の黄金時代の百貨店を彷彿とさせます。 これにアウトレットモールも加わり、日本の商業施設の上位は全て郊外に移ってしまったといえます。
今や都心部は消費の過疎地になってしまったのです。 しかし都心部の消費者はそのような巨大施設の存在すら知りません。
この膨大な数の都心部隠れ買い物難民を救うには、商業部分の賃料を引き下げるしかありません。
住宅の高騰ばかり騒がれますが、現在住んでいる人にはこちらの方が切迫した問題です。
中間層が日々の買い物ができる街を取り戻すこと、これが求まられています。