ビジネスのヒント
売上が増えても利益が増えない、これはなぜ起こるのでしょうか?
売上を増やすためにあらゆる施策を講じている。
その結果成果は出ているが、肝心の利益に繋がらない。
そんな時、一体何が起こっているのか?
それは利益率を犠牲にすることで売上を増やしているからではないでしょうか?
一番分かり易いのが値引きです。 値引きをすれば売上は上がります。
小売業なら特売日や夏冬のセールの時期などがあります。
その時にたくさん商材を準備しておかないと売上が取れない。
これが経験則となり、現場は「値引販売のために商品を仕入れることが一番大事」と考えるようになります。
実はこの現場の経験則が企業の利益率を下げる大きな原因になっています。
「売れる」仕組みが「儲かる」仕組みにはなってないのです。
ではどうすれば「売れる」と「儲かる」を同時に達成することができるのか?
そのカギは、P&L(損益計算書)を見れば明白です。
売上高は製品原価と粗利益で出来ています。
その粗利益から販売管理費を引いた残りが営業利益です。
これが誰もが分かる企業の損益の基本です。
では営業利益を高めるにはどうすればよいかを考えましょう。
まず売上を高めること。 これは誰でもわかります。
しかしそれと同時に「粗利益を高める」道があることにも気づくはずです。
じつはここが盲点なのです。
では粗利益を高めるとは何をするのか?
それは「高い値付け」をして、しかも「値引きせず」に売り切ること、に尽きます。
難題に聞こえますが、実現している企業があることもわかるはずです。
たとえばラグジュアリーブランド。 通常より高い、でも値引きせずに売れる。
これが高収益の源泉になっていることは間違いありません。
それはラグジュアリーブランドだから出来る事、ではありません。
実はブランドはどの企業にもあります。
それに気づいていない、もしくは活用する価値に気づいていないだけです。
これこそが「売れる」仕組みを「儲かる」仕組みに変えるためのポイントなのです。
自社のブランド価値を自らが尊重しないなら、いくら売れても利益につながることはないでしょう。
上の表に戻ると、ブランド価値の向上を意識しないと、営業利益を上げる方法は原価の削減か販管費の削減しかありません。
この道を進むとその先に待っているのは縮小均衡です。
永遠にコスト削減を続けるしかなくなります。
売上を作る大前提として、ブランド価値を高めることを置く。
その価値を売値に反映させ、値引することなく販売する。
これを仕組みの中に組み込むことにより、「儲かる」仕組みが完成します。
企業の「経営」とは何か? 突き詰めれば「資産」を「利益」に変えることだと言えます。
企業には一般に「ヒト」「モノ」「カネ」と言われる資産があります。
ならばそれぞれの資産を利益に変えるために、戦略が必要ですね。
ヒトから利益を生み出す、それは「人材戦略」
カネを利益に変えるのが「財務戦略」
そして企業活動の基盤であるモノを利益に変える戦略、
それこそが経営の根幹を作る「マーケティング戦略」です。
ところがこの概念はあまり一般的に認識されていないことが多いようです。
まずマーケティングという言葉が狭い意味=広告宣伝の部署として使われることが多いこと。
もう一つは組織の問題。 マーケティングに関わる部署は幅広く、それぞれが独立していてひとまとめにする組織や役職がないことが多いという理由です。
小さな組織なら企業のトップがその役割を果たすことも多いでしょう。
しかし企業の成長とともに各組織が大きくなると、統一したマーケティング戦略がとりにくくなります。
企業の全体最適より組織ごとの部分最適が優先されるようになってしまうのです。
成長とともに売上や利益を効率的に生み出すのが難しくなるのはこのためです。
利益に問題が出てくる前に、社員全員にマーケティング戦略が「見える」仕組みを作っておくこと。
これが継続的な成長のためには欠かせない、とても重要な要素なのです。
順調に成長してきて、人も増え組織も大きくなった。
しかし最近ちょっとおかしい。
・ 売上は伸びても肝心な利益が伸びなくなった。
・ 各部署でいろいろな施策をやっているが結果が出ない。
・ トップの指示が各現場まで徹底できなくなってきた。
・ 現場では会社の方針に対する不満が増えてきた。
組織が小さいうちは全ての部署がひとつにまとまっています。
しかし人も組織も増えると役職や部署ごとに独自の動きをしてきます。
すると各部署ごとの目標の方を優先するようになってくるのです。
これでは互いに話が通じなくなります。
なぜ現場はトップの経営方針を理解してくれないのか?
トップはなぜ現場の状況をわかってないことばかりやるのか?
お互いに不満がたまり、信頼関係が崩れ、深い溝ができてしまいます。
これを打破するためには全社に通じる「共通言語」を作る必要があります。
それが「数字」です。
難しいことではありません。
売上も利益も会社の業績は数字でできています。
全ての施策を「裏付けのある数字で語る」こと。
それが全部署に通じる共通言語になるのです。
いや、数字ならある。 各部署でちゃんと見ている。
そう、数字は埋もれるほどあるはずです。
しかも各部署でだんだん細かく管理するようになり、
担当者以外では扱えないほどになっていくものです。
これでは各部署で異言語を使っているようなもの。
互いの理解を得るのは難しいでしょう。
大事なことは、トップから現場までが同じ数字を見て、
同じ使命感を持って各自の業務にあたること。
そのための絞られた数字、誰でもわかる根拠のある数字を
抽出し、周知することがとても重要なのです。
現場に膨大にあるのは「管理データ」
全社で共有すべき「経営データ」とは別物です。
成長が踊り場になるのは、決して事業の限界ではありません。
組織が複雑になるにつれて多言語化してしまったという構造の問題なのです。
コロナ化を経て消費者の購入場所は多様化し、それに伴い出店場所も多様化しました。
まずは多くの人にとってネットが買回り品でも選択肢になりました。
ファッションや雑貨、化粧品などはいろいろ見て比較して回って購買したい。
だから「買回り品」と言われます。
ネットは本来買うものが決まっていない買回り品などには使いにくいのが弱点でした。
しかし店舗がロックダウンで閉まる中、ネットでは比較サイトや口コミなどを使えば
店舗の代替になることがわかり、新たな選択肢に浮上しました。
そして開業の投資などハードルが低いこともあり、新たな小売店はネット専業でスタート
するのも当たり前になってきました。
一方で店舗は人手不足に直面し、さらに建築費、賃料、人件費などすべての経費も高騰と、
先行きは暗い話ばかりです。
このまま小売りはネットにどんどんシフトしていくのでしょうか?
世の中を見てみると、音楽はレコードが復活しライブは活況、映画上演も復活、と
早くからデジタル化が進んだ分野では逆流ともいえる動きが出てきています。
そしてさらにAiの急速な普及。
こう見るとリアルに人と触れる実店舗の価値は一段と高まると見てよさそうです。
今もネット化率は10%台なのが現実です。 まだ市場の大きさがケタ違いなのです。
そうなると問題は。小売企業がその流れに乗れる戦略を打ち出せるかどうか、です。
それには、「人間が接客する」価値を企業側が再評価することが欠かせません。
いままで販売スタッフを「店番」「在庫仕分け者」「レジ作業者」の扱いをしていたなら、
今後は自動化するしか道はありません。
しかし接客に価値を見いだし、教育し投資をしてきた多くの企業にとっては、
むしろこれからが大きなチャンスなのです。
テレワークか、原則出社か、は今よく議論されます。
よく考えるとテレワークの導入とは、日本のサラリーマンにとって会社に
捧げていた通勤時間と労力を取り戻した、という画期的な出来事だったのです。
長時間の低賃金労働でもストもせず従っていたサラリーマンが、毎日2時間
自分のために使える時間を勝ち取った。
これは過去に例がないほどの労働環境をめぐる一大成果です。
だからこの権利を手放す理由などありません。
一方会社側は、出社回帰の理由としてコミュニケーションの不足や生産性の低下を挙げます。
すべて管理者側の視点です。
しかしこれらは工夫することで解決方法はいくらでも見つかりそうです。
前提として日本人は、誰も見てなくてもちゃんと仕事をやるという動機を強く持っています。
同調圧力などと言われ上司が帰るまで帰れない、などネガティブなところが強調されがち
ですが、ここが欧米と違う、素晴らしいところです。
せっかく勝ち取ったテレワークを手放してはいけません。
